★はじめての『ジャズ喫茶』

「ジャズ喫茶」に行ったことありますか?
ワタシは、一度もありませんでした。


ジャズ・バーやジャズ・クラブは、
さんざん行っているのに
どうも「ジャズ喫茶」だけは、“遠い存在”・・・・。


「一見さんお断り」みたいな、
ヘンな敷居の高さを感じるのは
ワタシだけでは、きっとないでしょう。


しかし、GWに行ったニューヨークでのJAZZ三昧のせいで
まだまだカラダの芯が熱くなったままになっていて
どうにもこうにも落ち着かない。


ジャズのCDを聴いているだけでは
納まりがつきそうにないので
何か解消方法がないかなぁ〜と探していたところに
ピッタリなのがありました、ありました!!!


四谷にあるジャズ喫茶「いーぐる」で
バド・パウエル特集」の講演会をやる、との情報


何でも
選りすぐりの名演を大音量でかけて、
その音についての解説までしてくれる
それで参加費は、400円(飲み物別)。
「初心者、入門者も大歓迎」、とのこと。


ムシムシとした梅雨空の土曜日
さっそく四谷まで出かけてみました。


「いーぐる」は四谷駅からすぐの場所で
地下1階にありました。


地下に下りていく階段のところから
すでにジャズがガンガンに聴こえてきます。
ヴィレッジ・バンガードなんかもそうですが
こういうシチュエーションは
正しいジャズのお店という雰囲気で
とってもイイカンジ!!!


はじめて入るジャズ喫茶


勝手がわからないので
ちょっとドキマギしながら入っていくと
入口のところにいた
このお店のオーナー・後藤さん(ジャズ評論家)が
「空いている席へ自由にどうぞ」と
声をかけてくださいました。


開演時間よりも早めに来たのに
すでに席はかなり埋まっていました。
とりあえずどこでもいいや、思って座った席が
なんとJBLの巨大スピーカーの真ん前。
まぁ、よいほうに考えれば
ライヴ・コンサートならば最前列ということ(笑)。


ぐるりと、どんなお客さんが来ているのか
チェックしてみると
中央の特等席のようなところには、
誰が見ても「大御所」「重鎮」「常連」と
いう感じのお客さんが
デンとお二人座っていて、いかにもという感じ。
「初心者、入門者も大歓迎」なんて書いてありましたが
その他の人たちも
みんなジャズに詳しい人のように見えてしまいます
・・・・。

でも、若い人も多いし、女性も思った以上に
たくさん参加しているのには、ちょっと驚きました。



ジャズ・ライターの高野雲さんの選曲と解説で
進行した講演は
新しい発見もいろいろあり、とても充実した内容でした。
(長くなるので省略します、スミマセン)

ジャズ喫茶のイメージというと
みんな押し黙って、目を瞑って、腕組みして、
とにかく難しい顔をしながら(軽くリズムをとって)
煙草をふかして、コーヒーを飲んでいるという姿・・・・。


実際に行ってみると、まさに、そんな感じでした(笑)。
でも、これは当然のことであり
おしゃべりを慎むのは最低限のマナーであるし
ピアノの一音一音などを、しっかりと耳で聴くためには
目を瞑って耳をダンボ状態にして集中しなければなりません。
(だから顔も難しそうな表情になりがち)
でも、自然とカラダがリズムと取り出して動いてしまう。
つまり、ちゃんとした目的を持って(ジャズを聴きたい)
来ている人は
みな、普通に、そんな感じになるのだと思います。


その他にも、いろいろな発見があって
とても良かったですが
中でも、一番面白かった(?)のは、
講演後の質問コーナーでした。
「いーぐる」では、
恒例のコーナーということでしたが
ここで、
ジャズ喫茶のジャズ喫茶たる一面を垣間見た気がしました。


まずは
前述した大御所のお二人が質問をしました。
その他のお客たちは、それを拝聴させていただいている
という感じ。
その質問と回答のやりとりが済むと
なかなか外には質問が出ません
(ちょっと高まる緊張感・・・)。


オーナー・後藤さんからの
「コワくないから、何でも質問していいですよ」
というフォローの言葉が、
かえって緊張感を高めたような気がしたのは
ワタシだけではない気がする・・・・。


そんな中、あるお客が
「(パウエルが)マイルスと共演したのはありますか?」と
質問すると
高野さんからも後藤さんからも
「あれもあるし、これもあるよ」というご返答。
もちろん「そんな基本的なことも知らないの?」
なんていう対応では決してないのですが
初心者・入門者には「絶対に安易な質問したらヤバイぞ」と
いうムードに・・・・。
少なくとも、初めて参加する人や初心者は、
そんな感じを受けたと思います。


でも、こういうところこそ
実は、ワタシが「ジャズ喫茶」に期待していたところ
だったのかもしれません。
ちょっと取っ付きにくいけど、
そのカベを乗り越えていく時の快感(ちょっと大げさ)。


今回、あらためて思ったことは
ジャズは、決してエンタテイメントではない、ということ
ジャズ喫茶は、決してサービス業ではない、ということ


音楽は書いて字のごとく「音を楽しむ」ものであり
理屈や理論ではないのですが
ジャズは、ただ何となく聴いて楽しむよりも
いろいろ勉強して、じっくりと聴くことで、
その本当の良さを理解できて
感動さえ得られる音楽だと思っています。
つまり
自分のほうから、一生懸命努力して、
ジャズのほうへ近づいていかなければならない。
ジャズのほうから、ワタシのほうへ
すり寄ってきてくれることなど決してありません。
同じく
ジャズ喫茶も、一生懸命に予習してきて、
はじめて楽しめる。
ジャズ喫茶は、そんな場所でいいんじゃないの、と
思いました。


毎週通うとなると、ちょっとツライかもしれませんが
隔月くらいなら、毎回行きたいです!!!


ザ・シーン・チェンジズ

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