★新型インフルエンザと日本人

海外旅行にはよく行くので
何度か、大変な思いや危険な目にも合って来ました。


飛行機だけでも
国際線に乗り遅れそうになったり
航空会社の都合で飛ばなかったり(航空会社持ちでスイートに1泊できた)
乱気流で落ちそうになったことも数回(食事の御盆が天井まで跳ね上がった)。


しかし
今回ほど、冷静に考えてみると
実は、背筋が凍るほどヤバイ状況であることを
思い知らされたことはないかもしれません。
それは、ウイルスそのものよりも
「責任の重さ」や「日本という島国の国民性」みたいなものです。


5月2日に成田を出発する時から
いつもと様子は異なっていました。
GWだというのに空港内は、ガラガラ。
ポツリポツリと見かける旅行者の多くが
マスクをしている。


いざ、搭乗してみると
日本人乗客のかなりの人がマスクをしている異様な光景。


私のところは
念のためマスクは持参(現地で調達するのは難しいと判断)したものの
空港でも機内でもしませんでした。


新型ウイルスを甘くみているわけではなく
満員電車の中や近くに咳をしている人がいるような状況ならともかく
24時間マスクをしているわけにもいかないし
せっかくの旅行気分にも水を差してしまう。
予定通りに旅行に出た時点で
覚悟はできているという感じ(後で考えは大きく変わりましたが・・・)。


これまでの渡航経験や米国経験からしても
いくら空港や機内でマスクをしても(そこだけ注意していても)
向こうに着いたらマスクなんてしていられないし
そんなことしていたら逆に変な目で見られるということが
ハッキリしていたので開き直っていました。


実際に
現地でマスクなんてしている人は、一人も見かけなかったし(5月上旬時点)
あれだけ用心深かった日本人旅行者もマスクを外していました。


まったくクルマが来なくても信号が赤色なら、ひたすら待っている日本人。
雨が降り出したら、必ず傘をさしている日本人。
インフルエンザが流行っていると聞いたら全員がマスクする日本人。


世界のどこを探しても、そんなキッチリしているのは日本人だけ。
良くも悪くも、このマジメさが、まさに日本人。


しかし、新型ウイルスが流行っているのは事実であり
この時期のニューヨークは、雨が多く、とんでもなく寒い日もあり
新型ウイルスでなくても風邪をひきそうでしたが
「酒を飲んだ次の日は、絶対に遅刻しない(いつもより早く会社に行く)」という
社会人の鉄則と同じように
絶対に風邪をひくわけにはいかない(いわんやインフルエンザ)。
もうそこは、気合い、気合いの世界。


お陰さまで、天気にはあまり恵まれなかったものの
いつも通りにニューヨークを十二分に満喫。
天気予報は雨ばかりだったのにも関わらず
予定していたMLB観戦も全ゲーム見ることができました。
(いいゲームも多かったです)


風邪ひくこともなく、新型インフルエンザになることもなく
事故もトラブルもなく、無事に帰国日。


いつものように
ニューアーク国際空港から
コンチネンタルCO9、午前11時出発予定の便に搭乗。
しかし、ここから予想もしない展開に・・・・。


5〜10分、定時から遅れるのは日常茶飯事のこと。
しかし、30分経っても飛行機は動く気配もない。
しばらくして機長から、やっとアナウンスが入った(もちろん英語で)。
「乗客の中に、具合の悪い人がいるため、治療をしています」。
ちょっと嫌な予感がした・・・・
その後、機長のアナウンスはどんどん変わっていった・・・


「具合の悪い乗客にクスリを投与しているため時間がかかります」


「具合の悪い乗客をいったん降ろして医者に見せるため元の場所に戻ります」


「降ろした乗客の症状をチェックするため病院へ向かっています」


もう、ここらへんからは
機内の乗客たちも今何が起きているのか察しがついた。
誰も大声で口には出さないが「最悪の事態」まで考えた。


さらに30分経過。


ついに機長から重要な内容がアナウンスされた。


「機内の乗客のひとりが熱を出したので、国際法令(?)に基づいて、新型インフルエンザかどうかを確認している。今後の対応についてはまったくわからない。ヒューストンのコンチネンタル本社ならびに日本国に連絡を入れて返事を待っている」という、とても不安にさせるアナウンスだった。


もし、この乗客が新型ウイルスに感染していたことが判明したら、
いったい乗客たちはどうなってしまうのだろう。


しばらくして、再び機長からアナウンスが入った。


「皆さんに、2つお知らせすることがあります。一つは良い知らせ、もう一つは悪い知らせです・・・」


こんなセリフは、映画で何度も聞いたことがあるが、まさか、こんな時に、こんなアナウンスを耳にすることになるとは・・・・(続く)