★バブルへGO!! 〜バブル真っ只中を突っ走ってきた新人類

話題の映画「バブルへGO!!」を観ました。
相変わらず目のつけどころがホイチョイ・プロダクションズらしく、
感心すると共に妙に懐かしい気持ちになりました。
その懐かしさは
私をスキーに連れてって」に代表される
ホイチョイ・プロダクションズの映画自体が
自分の「大学生時代」「社会人・新人時代」にシンクロする懐かしさです。


80年代後半、ホイチョイ・プロダクションズが立て続けにヒットを飛ばした
私をスキーに連れてって」「彼女が水着にきがえたら」「波の数だけ抱きしめて
の3部作には、当時、ちょうど大学生だった私には、大きな影響がありました。
映画に登場するスポットや音楽はもちろん、商品や会話に至るまで、
まさにトレンドを追いかけていた気がします。


当時の私を含めた大学生たちにとって、
ホイチョイのつくり出す広告やマーケティングの視点が入った世界観は、
とてもカッコよく映りました(そして、私は今、広告の仕事をしている)。
この映画がキッカケのひとつになって、スキーもダイビングも始めたし、
(ミニFMやDJにはハマりませんでしたが)
エスト・コーストのテイスト、つまり、雑誌「ポパイ」や「ホットドッグプレス
の世界に肩まで浸っていました。
私が大学に入学した時が、ちょうど東京ディズニーランドがオープンした時期で、
世の中は、女子大生ブーム、ディスコ・ブーム、MTV時代の幕開け・・・・
あちらこちらで、松田聖子マイケル・ジャクソンの曲がかかり、
ユーミンが最もオシャレの代名詞でした。


そんな時代だったので、ハードロック大好きの私でさえ、AORを聴いて、
渋谷のスターウッズなどに夜な夜な繰り出していた。
誰もが、そんな感じの、未来に何の不安もなく毎日とにかく楽しく
そんな80年代を過ごしていました。


怖いもの知らずの大学生活を卒業して、社会人になった時に、
世の中から“新人類”と呼ばれたのが、まさに私の世代です。
社会人2年目となる頃、ついにバブルがピークに達して、
91年には、その狂乱はハジけることになります。
(経済的には、89年から91年をバブル期と呼んでいる)


映画「バブルへGO!!」のセリフに出てくるように、
当時は、それがバブルなんて思ってもいなかったし、
いつから始まって、いつ終わるかなんてことは誰も考えていない
(何となく不安はあっても)そんなことは気にしていない
異常な時代でした。


この「バブルへGO!!」の舞台となるのが
まさに、そのバブル真っ只中の1990年という設定で
映画では、今から思うと、懐かしいというよりも笑ってしまうような
その時代の様子を巧みに再現していますが、
当時、某大手広告会社に入社したばかりの私にとっては、
映画を観ながら、「こんなもんじゃない、もっとスゴかったよ」と、
つい口に出てしまいそうでした。


映画のほうは、序盤のストーリー設定の説明が、
かなり、モタついていることが致命的にマイナスですが、
90年にタイムスリップした後は、
ひとつひとつのシーンに目を見張ってしまうような面白さがあり、
最後のオチのレインボーブリッジもかなり笑えました。
但し、やはり「私をスキーに連れてって」のような
いつまでも心に残る名作、時代を象徴するような作品
といえるクオリティではありません。
(後に残るのは、面白さだけ)


映画に描かれているようなバブルも、
私が突っ走ってきたようなバブルも、
決して褒められるような時代ではないことは、十分に承知していますし、
一時的な快楽のために、その後の人生を棒に振ってしまった人も大勢います。
しかし、今、会社の若いメンバーなんかと話していて、
彼らが、まったくバブルを知らない、
その後の不景気(いわゆる「失われた10年」)や「就職氷河期
だけしか知らないというのが、とても可哀想に感じます。


それは、例えて言うならば、
今どき、大学に行ったからといって、それだけでエライとか、
いい会社に入れるという時代ではありませんが、
しかし、長い目で見ると、この大学4年間で(勉強ではなくても)
思い切って遊んだ人、目一杯好きなことをやった人は、
その後の人生において、“心のゆとり”がある気がします。
特に、クリエイティヴな仕事をしている人には、その差は歴然と出ると思う。
イデアがどんどん出るような、やわらかアタマ、というのは、
実年齢もありますが、それ以上に、
こういう経験をしているかどうかなんじゃないかと強く思います。
ハメを外すならば、若いうちに、ということですね・・・・。